お酒ができるまで
◆洗米(せんまい)
精米された白米を洗う時から温度と時間の戦いになります。温度が高いと水の吸水が多くなりますので、出来るだけ低い水温で米を洗います。特に大吟醸(40%)の米を洗うときは秒単位で作業が行なわれます。そこで当社では夜のうちに水を汲み水温を12度まで下げて使用いたします。
◆精米・蒸米(むしまい)
酒造りは、原料となる玄米を精米し、蒸すことから始まります。
蒸し米は麹作り、酒母、もろみの仕込みに使われます。
蒸し上がった蒸米は放冷機により温度を下げて使用されます。大吟醸等は昔のように夜中にお米を蒸して、夜中に自然放冷します。
◆麹(こうじ)
蒸米に黄麹菌をうえつけて麹を作ります。麹は酒母、もろみにいれて米のデンプンを糖化していく役割を果たします。
◆酒母(もと)
酒母(もと)は蒸し米、水、麹に酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。
日本酒造りには、良い酵母が大量に必要ですから、文字通り「酒の母」といえます。
◆段仕込み
ここで日本酒造りの特徴である三段階に分けて仕込みをする段仕込みが行なわれます。
1日目は初添え。翌日は仕込みを休み。酵母はゆっくりと増えていきますが、これを踊りといいます。
3日目に2回目の仕込み(仲添え)をし、4日目に3回目の仕込み(留添え)をして仕込みは完了します。
段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ酵母の繁殖を促し、もろみの温度管理をやりやすくするための独特の方法なのです。
◆もろみ(造り)
いよいよ、この酒母に麹、蒸し米、水を加えてもろみを仕込みます。このもろみがやがて原酒となります。
◆新酒誕生
20日ほどかけて発酵を終えたもろみは、圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。搾りたての新酒は、ろ過、過熱(火入れ)され、そして貯蔵されます。
また精製後、一切加熱処理をしないお酒を生酒といい、精製後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理をするお酒を生貯蔵酒といいます。
精米から、並行複発酵、段仕込みというとても複雑な工程を経て、約60日間かけて、日本酒は誕生するのです。
◆日本酒の寒造り
四季醸造では、季節を問わずお酒を造っている大きな蔵がありますが、江戸時代中期頃までは、日本酒はほとんど1年中造られていました。
しかし、次第に品質の優れたものが出来る冬の間の”寒造り”へと移行してきました。
今では1月4~5日から2月立春までの約1ヶ月の間に仕込んだ酒を「寒造り新酒」として出荷しています。寒い季節に造られた日本酒は、ある期間おいてから”火入れ”と呼ばれる低温殺菌をほどこし貯蔵、熟成させ秋に出荷します。